イギリス病の私

本当なら今頃はイギリスをあちこちと駆け回りアンティークを掻き集めているはずでしたが、コロナで全ての計画は消えて、今は殆ど訪う人のない店で一人ちんまりとしております。本当はこのトピックのページ(UK report)はイギリスにいるときに更新するものですが、当分渡英は叶いそうにないので、一昨年に撮った写真などを数枚アップしますので、暇潰しにご覧下さい。

この二十三年半年ごとに必ず渡英しているのが身体に染み付いているので、行かないとどうも調子が悪いです。僕の仲の良い同業者の友人も数十年同じことを繰り返しているので、彼女も調子が出ないらしく、飛行機が飛ばないならボート漕いででも行く、と電話の向こうで息巻いてました。その気持ち良く分かりますね。何よりも自分の中に培って来たイギリスやイギリス・アンティークの知識、経験が更新出来ないのが辛いです。いつも定期的に訪れて、浴びるほどアンティークに触れ、色んな人に(と言っても大半は同業者だが)会い、話したりご飯食べたり飲んだり騒いだりしながら、自分の中に新しいものを落とし込んでいく一ヶ月を過ごしていたのに、今回はそれがゼロということになると、なんか心が澱みますね。最近は自分の英語も大したことはないとはいえ、矢張りイギリスでの会話は、通行人や店の店員、地下鉄の乗客などとの何気無い擦れ違いのやり取りも含め、本当に楽しく自分らしさを回復するのにとても助かっていた。それが出来ない。後、イギリスのちょっと毒のあるユーモアセンス大大好きですから、あれを浴びられないのも辛いですね。

ユーモアって何の役に立つ訳ではないけれど、大切ですよ、いや、あれは実はとても役に立ってるんですよ。だって、ユーモアのある会話をすると、瞬間自分の頭の辺りから澱んでるものがサッと跳ね上がって飛んでくれるじゃないですか、あの力って凄いと思うんです。笑うと同時に身体の中で何かが揺れるんですよ。

今イギリスでは何万人もの人がコロナで亡くなっています。時々友人からメールも来ますが、今この大変な状況下でイギリスの市井の人達がユーモアを失わずにしっかりとメッセージを出しながら生きている姿をこの目で見たいと、自分は強く思っている次第です。