好きな風景画

去年の春にエジンバラで仕入れた水彩画(額の大きさ 470 mm x 590 mm)、とても好きな絵です。なんかこの絵の雲を見ていると、フェルメールの有名な風景画でマウリッツハイス美術館にある「デルフトの眺望」に描かれている雲を思い出すんです。どこか似てる。この「デルフトの眺望」はマウリッツハイスの小さな部屋に「真珠の耳飾りの女」と向かい合うように置かれています(昔と配置が変わってなければ)。真ん中にある丸いソファーに腰掛けて、デルフトのほうを眺めれば後ろに耳飾りの女があり、耳飾りを眺めればデルフトが背後に控えているという、何とも贅沢な空間。

自分の店の名前を「フェルメール」にしたのは自分が一番好きな画家がフェルメールだったことと、この天才芸術家の小さな絵の密度にあやかり、自分の店も密度のある空間にしたいと思ったからです。マウリッツハイスにはもう一つ素晴らしい絵があります。カレル・ファブリタスという、フェルメールとレンブラントの間を繋ぐ位の時代を生き、確か30代位だったかな早逝した天才画家の絵。タイトルは今思い出せませんが、鎖に繋がれた小さな鳥の絵で、これも一度観ると忘れられない絵です。フェルメールだけでなく17世紀のオランダには素晴らしい画家がたくさんいます。ファン・オスターデも良いですねとても、彼の庶民を描いた室内画は素晴らしいです。残念ながらオスターデの絵を日本で観る機会は余りないかもしれません。でもね、その中でもフェルメールの絵は別格なんです。他の天才達が成し得なかった彼だけの、彼だけが描いた「空気」みたいなもの、それがフェルメールが幾多の画家と峻別される所以です。

今日はブラームスのヴィオラ・ソナタを聴いてます。キム・カシュカシャン(ヴィオラ)、ロバート・レヴィン(ピアノ)の演奏でレーベルはECMです。良いですよ〜。金沢も今日緊急事態宣言が出て、僕の耳も何時もより敏感なのでしょうか、音が美しく響いて来ます。

お店は一応、1時〜6時くらいの感じで常連の方が来られるときのために開けています。ホームページ更新してアンティーク磨いたりしてたら数時間経つので、ここに居るのは苦にはなりません。何時の日かこうやってお店で一人過ごした日々も懐かしく思える時がきっと来るでしょう。(ブラームスのヴィオラ・ソナタ第1番の第2楽章、良いですわ〜!)