イギリスのアンティーク・ボタン

一枚目の写真はモノクロで撮った夜のショーケース。二枚目は最近の僕の密かな夜の愉しみの写真、夜中に読書しているときに、読んでいる本が気に入ると、手近に置いてある無地のノートをハサミで切り取り、万年筆で書名と作家名を書き、卓上に置いてある数十本の色鉛筆から適当に気分で選んで色を付け、こんな感じの栞もどきを作って挟むんですね。可愛いのが出来ると、自己満足しながらそれを本に挟みます。因みにこの本は、「こうしてイギリスから熊がいなくなりました」ミック・ジャクソン 著(東京創元社)の原書で、'Bears of England' by Mick Jackson、と言う本です。新潟市の本屋でたまたま見つけ、その後ロンドンで原書を買いました。原書の英語も翻訳の日本語もいいですね。

このボタンはイギリス、1870〜90年頃の物、去年の暮れの仕入れで仕入れました。今は仕入れも難しくかなりレアーな物です。僕もこれだけ纏めて仕入れたのは5年振りくらいかな、イギリスでも殆ど持ってないんです。

さっき書きましたが、夜中の二時頃一度起きて三時間位かな、読んだり書いたり、椅子に座ったまま眠ったりします。パイプも吹かせば、ヘッドホンでクラシックのどちらかと言うと夜中向けの暗〜い奴を聴いたり(最近はアルヴォ・ペルトを聴くことが多い)、そうやって精神を集中したり散漫な物想いに耽ったりして、遊んでます。ただ今の僕にはこの「夜の時間」がなければ心のバランスというか、生活の充実感を持ち続けるのは不可能なようです。今書き直してる中編の物語「ガロア」もやっと(原稿用紙換算で)100枚程度書き直し、四割終わったところ。才能がないんでしょうね、少しずつしか書けないんですよ。頭が悪いんです、きっと。

皆さんも今のこのコロナ・クライシスできっと、ものの感じ方、見え方が変わって来てるんではないでしょうか。僕も今これを書きながら、ヤンガルバレクとヒリアード・アンサンブルの「ムネモシネ」(ECM)と言う、声楽アンサンブルにサクソフォーンがインプロビゼーションで絡む昔のCDを聴いてます。でも、今までよりも、聴こえる音が綺麗で哀しいですね。心に沁みて聴こえて来ます。とは言え、暗い、訳じゃないんです、ちょっと違う。

きっと、これからの文学、音楽、芸術は大きくじわじわと変わっていくと思いますよ。そして、今ある流行り物の根の浅い、それこそ時代の「浮力」で魅力的に見えていたものは、枯れていくと思います。生きるのが大変になれば、人が希求するものも変わって来る、と言う単純なこと。そこだけに関して言えば、それは悪いことではない。

では、皆さん、これからも夜な夜な考えていることを書いていきたいと思います。