イングリッシュ・デルフトの皿

18世紀前半頃のイングリッシュ・デルフトの皿(径 約17cm)、ブリストル近郊で作られた物らしいです。本家のデルフトに比べると質は落ちますが、独特の味わいがあり僕はとても好きです。

コロナウイルスで街はひっそりとしていて何処かシュールな雰囲気さえ漂っております。僕は朝は机に付いて、小説「ガロア」を仕上げるべく原稿用紙約250枚の中編を全部書き直している最中です。一月はそのために店を休んで書いていたんですが、中々進まず未だ全体の三分の一書き直したところです。書き直す、という作業が意外と大変なのです。何故か。自分の書いた文章でありながら、それはある意味「他人」が書いたもののようで、文章の真意がよく分からない箇所というのがあるんですね。直感として間違ってはいない、でもその本当に意味するところが分からない、それでその一文と睨めっこするんです、ずーっと。するとやがて見えてくるんですね僕がそう書いた意味が。そこで初めて書き直せるんです。面倒臭い作業ですし、只管根気です。そうやって一文ずつ掘っていくんです。そういった意味では「ガロア」を書いているのは僕とダレかの共作なんです。「ガロア」とは五年前まで金沢に実際にあった飲み屋でそこが舞台の半分、後は其処に来る女性客が滞在する海辺のホテルのような場所。そのホテルはこの世とあの世の中間に位置していて、その中間世界でずーっと会話が続いていくんです。そこで起きる会話を書いてるときは僕もその中間地帯にトリップしてるんです。このような雰囲気の中日々を過ごしながら、朝机に付いてこの世でもあの世でもない世界での会話をずっと考えていると、ふっと障子越しに差し込む薄明かりに気付いて不思議な感覚を覚えます。

夏には書き上げる予定です。