リモージュのピンクのカップ

リモージュのカップです(カップの高さ、直径共に約6cm、ソーサーの直径約12cm)、1900年頃の物。凄く高級と言う訳ではなく普通のクオリティの物、まあまあの質ですが、こうやって並べると如何にもフレンチな感じで可愛いですね。六客揃ってますがばらで売ります。ブラックコーヒーなんか入れると綺麗だと思います。

先日遠方から常連の女性が見えられて、18世紀末頃のイギリスのグラスを買っていかれました。新しく作ったショーケースの上に「候補」の18世紀末から19世紀初頭のグラスを五、六個並べ、そこから更に厳選するのに、二時間位ですか、椅子に座られジッと静かに格闘するが如く眺めておられました。ご本人も無事選ばれた後、疲れました、と仰ってましたが、確かに真剣に物を観るのはエネルギーを要しますね。大変な作業です。

古い物に見入るとき、人の意識は知らずのうちにその日常の枠を超えて何処かの彼方へと飛ぶのではないか。そんな意識の跳躍が精神に及ぼす良い作用があると思うんですよね。日常の意識の枷を超えて、その一部がほだされるように何処かへと流れて行き、ナニカトオイモノに繋がる。そんなことが観る人の中で起きてると思います。

僕は、人が物に見入っている姿を見るのが好きです。祈りの姿ほどではないにしろ、矢張り人間が見せる美しい姿の一つだと思います。