1803年製のデザート・フォーク

1803年製、ダブリンのシルバー・ホールマークが入っている、デザート・フォークのセット(長さ 16cm)。状態は完璧。先端部の鋭利さが保たれていることから察するに、ほぼ未使用。去年の11月のイギリスの仕入れ、ある朝、プロが良く行く大きなアンティークの市で仕入れているとき、仲の良いイギリス人のディーラーとすれ違いました。まあそんなときは、どう、なんか良い物あった、何て感じでさして返事を期待もしてないようなやり取りをするのですが、相手のK氏が、マスオ(僕の名前)、これ要る、何て言いながらグチャグチャの新聞紙の包みを差し出すんです。開けて見ると、入ってたのがこのデザート・フォーク。こんなに状態の良いデザート・フォークはかなり珍しいのです、滅多に見ません。五秒以内に取引完了で、その新聞の包みは彼の元には戻ることなく、僕の物に。こんな仕入れもたまにありますね、、。持つべきは良い友達。かと言って、良い物仕入れるために友達を作るのか、と言われるとそうじゃないですね。まあ、ことの自然な流れですね、何でもそうですが。横から見ると分かるように、この時代のカトラリーは繊細で美しいですし、触っても柔らかい。抑制の効いたイギリスらしい美しさです。この後に続く、ヴィクトリア時代の物に比べるとジョージア時代の物は抑制が効いて控えめ、それが特徴でもありますが、それ故に、一見その良さが分かり難い。装飾も少ないので、なんでもないように見えるんです。