パイプは一生修行。

パイプを喫い始め約三十五年。パイプの喫い方は永遠に変化するので、もうこれでいい、というのはない。何年喫っていても上手くいかない日がある、だから面白い、でも歳が行くにつれ余り無理をしなくなる。上手くいかないときは、今日はそんな日なんだなと思うことにしている。かと思うと美しく燃えてくれる日がある、諸々の条件が揃うと綺麗に喫える。その、揃う、と、揃わない、との違いがどの辺りにあるのかが分かり難いのもパイプスモーキングの深さ愉しさでもある。

写真にあるのは昔のダンヒルのパイプ、特にダンヒル贔屓ではないが昔のダンヒルは美味しい。本を読む合間に喫うことが多い、又は音楽聴きながら。今日はキース・ジャレットの二枚組CD “Book of Ways”を聴いている。これは傑作ですね。クラシックでもなくジャズでもない、まさにジャンル・レスの音楽。こういうところに到達出来たジャズピアニストは彼以外いないと思います。

今でも偶に新しいパイプを手に入れることがある、去年アムステルダムに行き、パイプの師匠兼友人のところでダンヒルのとても細いパイプを一本手に入れた。未使用のパイプなので、所謂 break-in をやってから喫い始めた、break-in とはパイプタバコを最初は少なめに入れて徐々にタバコの量を増やしながらゆっくりと喫い、パイプの内側にパイプを火玉から守る焦げ目の黒い層を均一に作る作業のこと。今回のダンヒルのは恐らく少し昔のデッドストックの物だろう、今のダンヒルではない、現行のダンヒルには興味ないのでダンヒルは昔のしか所有しない。新しいパイプに break-in をやり、吸い込んでいきながら徐々に育てていくのはパイプスモーキングの愉しみの一つだ。そうやってパイプが少しずつ自分の物になる。

今はパイプが本当に分かっている人が少ない、それもパイプ人口が増えていかない大きな理由だろう。若い人には興味があれば挑戦して欲しい、こんなに奥深く行き着く処の無い趣味も少ないと思う。初心者歓迎です。こんな時代だからこそ究極のマニュアル世界であるパイプスモーキングに入っては如何でしょう。