新潟のブッククラブにて話す、その印象。

先日15日新潟市のBar Book Box で定期的に開かれているブッククラブに招かれ話して来た、三時間半話した、何を話したのだろうか、終わってしまうと余り覚えてないものだ。ブッククラブに定期的に集まり持ち合った本について話し合う人々というのが僕には新鮮だった。本に対する姿勢が真面目でそこにも僕は軽い驚きを持ったのだが、同時に、僕には出来ないな、とも思った。恥ずかしいという気持ちがあり、実際当日トークの前にみんなの前に座って自己紹介されているときもとても恥ずかしかった、聴きに来られた方には、僕が何か彼らの知らないことを知っているのではないか、という期待もあり、中には、今日は塩井さんの人生観などを聴けたらと思っています、と言われた方もいて僕は穴に入りたいくらい恥ずかしかった、実際僕には纏まった人生観など無く、大して何も知らないのだ、それを過大評価されてしまうと帰りたくなる。

まあでも、一旦トークが始まれば、人生観など知ったこっちゃない、唯思うがままに話すだけだ、だから相手がどのような感想を持ったのかも分からない、来年もやると言ったが、もうみんな来ないかも知れない。唯思うのは、こうやって話すときに相手は、自分が詰まらないなと思って話したことに案外反応したり、逆に自分が面白いと思って喋ったことが相手には届かなかったり、ということがよくある。詰まり自分がそこにいることから相手がどんな印象を受け取っているかは分からないのだ。可成りの量のノートを渡したのでそれを後で読んで頂けたら嬉しい、真面目に書いたものだからそう悪くないと思う。補足がないと分かり難い箇所もあるが大体は理解できるようになっている。

トークの魅力は恐らく矢張りその場の臨場感だと思う、その場の雰囲気を話し手を中心に皆んなで共有する楽しさだろう。演劇に近いものがあるかもしれない。後、少人数だと場の雰囲気にも親密さがあり、とても良い。そうやって僕は話者を演じて来たのかもしれない。恐らく三十人位までなら同じ感じで喋れるだろうが、百人とかになると親密さは消え、ある種の秘密を共有するような、共犯関係的な楽しさは無くなると思う。

こうやって、知らない街で本や書くことに向き合っている人たちに逢えたのは良かった、それ自体は気持ちの良い体験だった、また来年も皆さんに会えたらと思う。