サミュエル・ジョンソンの机。

今回のロンドン滞在中にサミュエル・ジョンソンの家に行った、18世紀にほぼ独力で英語の辞書を作り上げた巨人である、オックスフォードの辞書が出来るずっと前にこんな凄い辞書を六人のアシスタントの力を使って一人で書いた人だ。この小さなミュージアムに行くと彼が辞書を書くのに使った小さな机が展示されている、レプリカではなく本物だ、その質素で小さな机は観ると感動を覚える。誰かが言った「机が大きくなると(そこから産まれる)作品は小さくなる」という普遍的事実をこれほど示す好例はないだろう。辞書も展示されている。フランスやイタリアと違って未だ言語アカデミーの無かったイギリスで在野のジョンソンが一人でこの辞書を作ったのだ、彼はスコットランド人を馬鹿にしていたが彼の伝記を書いて彼を一躍有名にしたボズウェルもスコットランド人だし、彼が雇った六人の助手の五人はスコットランド人だったそうだ、ボズウェルは上流階級の出だがジョンソンは田舎の本屋の倅で庶民である。こういう落差も面白さを増す。

またここを訪れたいと思う。今回はホルボーン地区に縁のあるロンドン滞在だった。