気が滅入るので器屋へ行く、、。

三日続けて母に会いに行く。段々と死に近づく母を見てると矢張りそれなりに滅入る、今日も朝家のゴミ捨てに行くつもりだったが体調今一つだったので、器屋へ行った。ここで毎朝お茶漬けのようなものを食べるのに丁度いい少し大きめの茶碗が無く、金沢では骨董の染付けで食べてるのだが、もっと気に入った茶碗で食べたいと思い、先日旧市街で素敵な器屋を見たのを思い出し今日車で出掛けた。僕の育った街、九州の日田は江戸時代は代官所が置かれた天領、儒学者、教育者の広瀬淡窓が開いた塾「咸宜園」が有名、その後明治大正期は林業で栄えた町。市内には、隈、という街と、豆田、という街があり、特に豆田は江戸時代九州の大名に金を貸したりしてた豪商がいたので有名、隈は昔の歓楽街。僕の母方の曽祖父は隈で大正期頃に旅館を経営していたので祖母は隈で育っている、僕も小さい頃は豆田で遊んでいた。僕のルーツの一つはこの旧市街の隈街なのだが、そこにある器屋「綾部商店」に行った、昭和二十七年からやっている。器といってもここは小鹿田焼専門、日田市郊外にある小鹿田焼は昔、柳宗悦やバーナード・リーチが訪れ有名になった、素朴な焼き物を作るところである。

気に入らない器でお茶やコーヒー飲んでも面白くないし、お茶漬けも気に入った茶碗で食べたい、こんなときは尚更器に慰められたいと思う気持ちもある。さて、写真にある「綾部商店」、お店の方、器、共にとても良かったです。七点求めました。昔ながらの良いお店でした。僕の曽祖父がこの辺で旅館をやってたと伝え、色々昔の話で弾みました。こんな気の滅入りがちなときに器に触って選んで買う、お陰様で終わったら午前中の体調の悪さは何処かに消えてました。

矢張り、こんなときだからこそ余り真面目にならず、好きなことに時間を費やすのは僕のような人間には大事だと思った次第。明日の朝はミニシアターにジャズの映画観に行きます。今夢中になってるギタリスト、ヤコブ・ブロが出ています、こんな小さな街なのにミニシアターがあるのです。

大変なときに器や音楽で慰められる、こんなときは余計身に染みる、昨日父が眠る田舎のお寺に行くときにモーツァルトのオペラ「魔笛」が車のラジオから流れてて、ソプラノのコロラトゥーラがとても美しく、田園風景にソプラノの歌声が映えて何時までも聴いていたかった。

ではまた、、。