貝のカウンター入りの木箱。

ゲームをするときなどに使った小さな貝を入れた木箱(7 x 5 x 2,2 cm)、イギリス製、19世紀前半。白蝶貝の小さな札や貝などをゲームの掛け札として使用したようでイギリスでは一般的にカウンターと呼んでいます。木はマホガニーのようにも見えますが分かりません、とても珍しい物ですし、美しい箱です、開けると綺麗な白い子貝が現れる。何とも素敵です、とてもお気に入りの小さな箱ですね、シンプルで美しく状態も良い。このような物にはロマンを感じます。恐らく身分ある裕福な女性が大切に所有していたのでしょう、大事に扱われていたのが箱の感じからも分かります。箱の形、中の貝の大きさ色味蓋のスライドする感じ蓋の厚みそれら全てにおいて美しい均衡があります。素晴らしいの一言です。

このホームページでアンティークの紹介をするとき出来るだけ正直に自分の感想を述べるようにしている、売るために過大評価もしないし出来るだけありのままの評価を書くようにしている。写真も物の魅力をそのままに撮ろうとしている、これも出来るだけ正確に。常連の方がこのページを見られて買って頂くことも時々あるので、買われたものが自分の処に届いたときにホームページで見たのよりももっと良いと感じるならいいけれど、それ以下だと困るのだ。物の希少度なども僕のイギリスでの今までの経験を基に正直に語っている。

大したことない物を仰々しく語るのは良くないし聞いていて白ける、映画のチラシの紹介文なども絶賛されていて実際に観て詰まらないと次からはもうその媒体の紹介文は信じなくなる。洋服も同じ、店員さんに物凄く勧められて買ったけれど家に帰って着たりしていてもイマイチだったりするともうその店には行かなくなる。売買に於いては信頼関係が大切、職人さんもそう、歯科医も、車屋も、不動産屋も、骨董屋も、酒屋も。正直に実際のところを語ってくれる専門屋の何と少ないことか、検索もこういう場合は役に立たない。昔車を車検に出すのに検索して探し、笑顔でスタッフが揃って笑っている写真が掲載された車検屋で車検を頼むと直ぐに電話が掛かってきて、タイヤの軸の所のゴムカバーに両方亀裂が入っているので交換必要とのこと、実際に見たわけでもないので、事の真偽は不明。お金を払った後にそのスタッフの笑顔写真が思い出された。

逆に正直に説明し過ぎると、不安になる人もいるから難しい。アンティークの説明も、正当評価をすると買わなくなる人もいる、矢張り褒めちぎるのが良いようだ。僕が初めて来られたお客さん(中年以上の男性が多い)にある物のクオリティーを訊かれて、フツーですよ、と正直に言うと、もうそれだけで買う気を失くす人がいる。フツーはフツーなのだからしょうがない、そう訊いてくるアナタもフツーですね、と冗談の一つでも言いたくなったりする、まぁ心の中で思うだけに留めるのだが。

今日はジャズ聴きながらブローティガンの翻訳家で有名な藤本和子さんの本「イリノイ遠景近景」(ちくま文庫)を読み進めている。