小さい油彩画、Newstead Abbey。

小さい油彩画(17 x 21 cm)、イギリス、ノッティンガム州にある Newstead Abbey(ニューステッド・アビー) を描いたもの、元は中世の修道院で、19世紀初めの一時期、貴族で詩人のバイロン卿が所有していたらしい、この絵もその頃に描かれたもの。色のトーンの暗い絵だがぼくはこういう暗めの絵が好きだ、こんな絵は暗いところに掛けて暗いままに観るのがいいと思う、余りディテールを気にせず全体の雰囲気を眺めるようにして楽しむ。

トランプ大統領の就任式で大聖堂の司教である女性がトランプに、今アメリカでは性的マイノリティーや移民の人が恐怖に怯えて暮らしているので大統領慈悲の心を、と語り掛けていました。とても勇気ある行為です。トランプは自分の気に入らない人間にはどんなことでもしますから、その彼にそう告げる行為は賞賛に値します、素晴らしい。勿論彼はそんなことを聞く人間ではありませんが、あの場でそれを告げたという事実は残るのです。対照的だったのは巨大IT企業トップの面々です、雁首揃え大人しく立ってました。あんな人間にあんな顔になるくらいならお金など無いほうがいい、巨大な富をぶら下げた俗物です。顔に品が無い、でしょ。トランプが議会襲撃者に与えた恩赦を拒否した女性もネットに出ていました、これも勇気ある行為です。こういう時代は男性よりも女性のほうが勇ましいのかもしれません。「女々しい」という言葉がありますが、この漢字表記も変えたほうがいい、明らかに女性差別ですし、大体男をかざす男にロクなのはいません。酒に酔うと、男ってものはよ、、とか語る奴はそれこそメメシイ奴、なんかあるとサッと逃げるタイプです、ぼくは大嫌い。昔はそういうバカ男の年上に随分楯突いていたので、お前生意気だな、と言われてました。はい、生意気ですよどうかしました、、と返してました。本当の男は男について語ったりしないものです。昔の軍人とかも最低、本当に素晴らしい将校とかは左遷されて最初から玉滅するって分かってる部隊のトップに配置されたりで、硫黄島で亡くなられた栗林中将のことを梯久美子さんの本「散るぞ悲しき」で読むと如何に彼がモダンで聡明な人だったかが分かります。彼はアメリカに留学もしていて向こうの人ともとてもジェントルに交流が出来た、でもそういう理知的な人は当時の軍部の中では少数派なのです、こういう人が軍部の中枢に少しでもいたならばもっと多くの人の命が救われていたでしょう(梯さんの本とても良いですよ、是非新刊で買われて下さい、ぼくは梯さんには恩があるのです)。アメリカの軍部の人が、日本の兵隊はあんなに優秀なのに将校たちは何であんなに程度が低いんだ、と驚いていた、と昔何処かで読みました。なあに、今も同じですね、庶民は一生懸命安い給料で働いて頑張ってるのにその上にいる保守系政治家の質の低さ、この国は昔と一緒です、同じ。勿論素晴らしい方もいるでしょう、が、世襲議員多過ぎでしょ。特攻隊で亡くなられた優秀な若者の手記を読むと本当にいたたまれない気持ちで一杯になります。少数の愚かな人間が権力を持つと大勢の善良な人間が無駄死にさせられる、特攻隊で亡くなられた優秀な若者が、自分たちは飛行機と同じで消耗品だ、と悟りながら死んでいったのです。神風特攻隊員として飛行機に乗り出撃し沖縄で十九歳で亡くなられた茂木三郎さんが母親に遺した言葉がある、以下、梯久美子さん著作「戦争ミュージアム 記憶の回路をつなぐ」(岩波新書、21ページ)からの抜粋、〈僕はもう、お母さんの顔を見られなくなるかも知れない。お母さん、良く顔を見せて下さい。しかし僕は何んにもカタミを残したくないんです。十年も二十年も過ぎてからカタミを見てお母さんを泣かせるからです。お母さん、僕が郡山を去る日、自分の家の上空を飛びます。それが僕の別れのあいさつです〉。

梯久美子さんの本を買って読まれて下さい。