ロンドンの地下鉄

ロンドンの地下鉄は普通 tube と呼ばれる、subway でも通じるが、subway には地下道という意味もあるので、tube が一般的な言い方。ロンドンの地下鉄が良いのはマニュアル感が残ってることだと思う、僕がよく乗るベイカルー・ラインは車両も古いし、ギーギー唸りながら走る。勿論スマホ派が主流だが、本を読んでる人は見回すと必ず二、三人はいるし、大声でお喋りしてる人、ジッと一点を見詰め思案している風の人もいる。昨日も夕方の混雑時に乗ったら男の人が二人、恐らく僕たちが荷物を沢山持ってたから、僕たち次で降りるから、と言いながらサッと立って席を譲ってくれた。勿論僕は、サンキューと相手を見て言いながら座る。次に少し離れたところでおばあちゃんが乗って来る、三十代くらいの黒人女性がサッと立って席を譲り互いに一言二言交わす。こっちの人は本の表紙をカバーで隠したりしないので僕は何時も、この人はどんな人なんだろう、と表紙を覗き見て本のタイトルを知ろうとする、昨日は斜め前に座っていた40くらいの痩せた背の高い白人男性、オニツカのシューズを履いていた、Infinity Gate というタイトルの本。

こんな感じで人間的交流が少なからず起きているので地下鉄の車内は殺伐としないし、これを僕はマニュアル感と呼んでいる。乗っていても居心地が良い。未だ人間味、人間臭さが感じられるのだ。僕が東京の地下鉄や電車が嫌いなのはこのようなマニュアル感がゼロだからだ、僕は東京は都市になり損ねた巨大な街(村)だと思う、僕の中では東京は都市ではない、少なくともアムステルダムやロンドンのような成熟都市ではない。

速くも時間が経ち仕入れも後半になってしまった、今日はのんびりしたいと思う。