赤いガラスのパウダーケース

赤いガラスのパウダーケース(5,8 x 4,8 x 1,5 cm)、真鍮製、蓋にチェコ製の赤いガラスとパールで装飾が施されています。イタリア製かと思っていたら蓋の内側に made in France. と書かれてありました。時代は1900年頃か20世紀初頭だと思います。高級な箱ではありませんが魅力的です。女性用の物、チェーンでぶら下げられるようになっていて、蓋の裏には鏡が付いてます。18世紀末なら鏡が付いたこのサイズの小箱は付けボクロ入れ(patch case)だったりもしますが、これはお化粧道具、パウダーケースだと思います。最初は嗅ぎタバコ入れかなとも思いましたが、鏡が付いていますしぶら下げるようになってもいるので思い直しました。アンティークの箱の用途を当てるのはときに難しいですね。

数日前、店の近くにある交差点で小学生の男の子が道を渡ろうと信号が青になるのを歩道の端に立って待っていました、その交差点には地下道があり歩行者は道を歩いて渡るのを禁じられています、僕は彼の直ぐ後ろで自転車に乗っていたのですがこの小学生が気になり、ねえ僕ここは道を歩いて渡ったら危ないよ、と声を掛けると、彼は後ろを振り向いて僕に答えました、そのまま真っ直ぐ道を渡ったら危ないのは分かってるよ、だって僕(右手を上げ指を三本立ててこちらに示しながら)もう三年生なんだからさ、と。でも、そう言った彼は青になったその交差点を渡らず何故か走って向こうへ行ってしまいました。マセたその言い方の可愛かったこと。三年なのだからもう大人そんなの言われなくても分かってるよ、と言いたげな口調。

妙に心に残る一瞬の遣り取り、理由はよく分からないけど。とても印象的な小さな触れ合いでした。