ロシアのピアニスト、マリア・グリンベルクのCDセットを買った、三十四枚セットだったか。以前、と言っても大分前に彼女がバッハを演奏するCDを買っていて久し振りに聴いたら素晴らしく、改めてCDセットを買った次第。彼女の名前を知っている人は結構なクラシック通だろう、ロシア国内では有名なピアニストだったみたいだが、ユダヤ人であることと夫や父が政治的に敵視されていた為、彼女も海外で演奏するなどの機会に殆ど恵まれず海外で知られることもなく長い間「無名」のピアニストのまま、彼女が海外で演奏活動をしたのはオランダだけらしい。その天才的才能にも拘らず政治的理由で長い間欧米で知られなかったということ。CDを聴けば彼女が、僕らの知っている同時代の欧米の有名ピアニストと比しても全く劣らない、いやそれ以上かもしれないと分かる。
僕は何が言いたいかというと、有名とか無名とかいうのはその人の実力よりも寧ろちょっとした偶然や運に左右されることが多い、と。隠れた無名の名人、達人という者がこの世には必ずいるもので、逆に有名な俗物もこの世には沢山いる。
まだこのCDセットはほんの数枚しか聴いていない、愉しみながらゆっくり聴いていきたいと思う。シューベルトもブラームスもベートーヴェンも素晴らしい。名の有無に関係無く矢張り自分の目と耳を信じて暮らしたいと改めて思う。
(写真は犀川に咲く桜)
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