二百年前のカットグラスの大皿

イギリス、1810~20年頃のカットグラスの大皿(直径 34 cm)、堂々たるガラスの大皿です、今まで仕入れたことのない大きさです。この時代特有の銀色の輝き、写真で分かりますでしょうか。恐らく、鉛の含有量が多いせいだと思うのですが、19世紀初頭のカットグラスはこのような硬質の色味を持っているのです。日本刀の刃のような鋭い質感です。

景気が悪いせいか、何時迄も寒いせいか人が殆ど来ません、いやいや塩井さん単に貴方の店が人気ないんですよ、と言われればそうなのかもしれないが。余り人が来ないのでインターホンが壊れてるんじゃないかと、子機を手に玄関に行きボタンを押すと強烈な音で子機の音が鳴る。壊れてはいない、鳴るな、と一先ず安心。不思議とコロナの頃より、コロナ後のほうが人が来なくなった気がします。景気も世の中もアフターコロナのほうが悪いですね、コロナ抜けたら良くなるかと思った世の中がちっとも良くならず物価は上がるし、円安は進むし、給料上がってるのは一部の人だけだし依然庶民は大変、庶民の気持ちはどんどん内向きになりますね。海外旅行も極一部の人たちにしか縁のないものとなって、まるで六十年、七十年代に逆戻りしたようです。今の普通の若い子にとって海外は遠いですね。

もう一つ思うのが、インターネットの時代になり、スマホばかり弄っているからか、人は物に対する興味を失ってるように思うんですよ、お金があるとかないとかじゃなく、物に興味が無い。物に対する執着が薄まっているように思うんです。人に対してもそうかもしれません、人にも物にも興味が無い、一日中スマホだけ。何か熱量のようなものが今の人には欠けてきている気がするんです。これは良くないことですし、僕のような商売をしている人にとっても深刻なことです。皆んな何かアッサリして、気の抜けた炭酸水のように暮らしている。物にも人にも興味がなければそういう人間はきっと自分にも興味が無い、そう思います。これは問題ですよ。感情というものが人間から消失している、ように思えるんです。

恐い時代です。無気力無関心は昔から言われてますがここまでくると異常としか思えません。無気力無関心、というのとも僕が今言ってるのは少し違うかもしれません、何かその根幹の辺りをすっかり抜かれているような気がするんです、根っこから欠けてしまっている。まあでも決めつけずにもう少し世の中を静観したいと思います。何か面白い発見もあるかもしれませんから。