1800年頃の堂々たるワイングラス

イギリス、1800年頃の堂々たるワイングラス(12,2 cm 高さ、9,4 cm上部直径)、脚の裏側は型押し模様で通称「レモンスクイーザー」、とても素晴らしいワイングラス。貴族か上流階級でないとこんなグラスは使えません。元は十二脚セットであったんでしょうね、壮観だと思います、このグラスが十二個揃っていたら。素晴らしいの一言に尽きるグラスです。状態もとても良いです、文句なし。

昨日古本屋で俳句の本を買い、読んでいたら「夏炉冬扇」という言葉が出て来ました、夏の炉に冬の扇、役に立たない物の喩え。俳句もそれをやったからといってお金になったり名声を手にしたり出来るものではなく、現実世界では全く役に立たないものという意味でこの言葉が出て来た訳ですが、骨董(アンティーク)の世界も極めていくと同じですね、要らない物役に立たない物にお金を使う訳です、別に無くても生活は出来る、要らないといえば要らない、でもどうしても欲しい。それが骨董の世界です。要らないといえば要らない、でも、とても深い、尽きるところが無い世界。

人に自慢したり、投資目的とか、そんな気持ちで買うのは違う、本当に骨董が好きなのではない、アンティーク持ってる俺ってカッコいい、というのも軽薄な感情、好きなのじゃない、骨董はファッションではない。そうじゃなく、「愚」の気持ちに近い、どうしてこんな役にも立たない世界に俺はのめり込んでしまったんだろう、という思い、それが骨董の世界。だから「夏炉冬扇」に通じるものがある。「愚」の世界にのめり込んでいく売り手と買い手はある種の共犯関係にも似ています。それが骨董の魅力でもあります。