1999年発行の岩波文庫

何時もの古本屋で「明治文学回想集」(上下二冊、十川信介 編、岩波文庫)を買った。1999年発行。古本を買うと何時発行されたものか必ず確認する。90年代は面白い本が出ていたギリギリ最後の年代だ。21世紀に入ると全くと言っていいほど良い本を見なくなる。こういう本を買って読んでいるときが読書の愉しさを一番感じる。この本は上下二冊に分かれているので上は明治20年迄の話しなのだが、明治前半は矢張り江戸の色が濃く残っていて、というか未だ江戸なのだ。僕みたいな者には中々取っ付き難い。それでも新聞小説が明治初期にどうやって始まったのかなども詳しく書かれていて貴重である。正岡子規あたりから始まった「写生文」の流れも詳しく書かれていてとても面白い。子規には何処と無くトリックスター的なところがあり僕はとても好きな作家(俳人)である。

21世紀になるとインターネットが生活の凡ゆるところに出てくる、そうなると自然僕たちのリテラシーも低下していく、良い本も売れないから良い本は出なくなる。言葉もインターネット仕様の言葉が中心になりそれが標準化されていく。これはとても恐ろしいことなのだが、マスコミや出版に携わる人ですらそこには可成り鈍感なような気がする。

アメリカのアーミッシュじゃないけれど日本も何処か田舎にインターネットや携帯電話を一切使わないで暮らす人たちを集めた特区を作ったらどうだろう。それこそ、それは先進国にしか出来ないシンボルとなる、仮に日本が先進国ならばの話しだが、、。「昭和特区」という名前で60年代の暮らしをする人々を集めたらいい。面白いと思う。結構人が集まるんじゃないかな。

写真は今回仕入れた水彩画、額も良い、絵も良い。