モザイク画の丸いペンダント

ヴェネチアン・モザイク画のペンダント(直径 2,9 cm)、イタリア製、1900年頃。前回紹介した物ほど高級ではないですが、それでもこれくらい細かいモザイクのペンダントでしかも可愛いのは最近イギリスでも中々ないのです。十年位前まで普通にあったのに不思議ですね。

今日本棚から岡倉天心の「茶の本」(岩波文庫)を取り出し前のほうをパラパラ捲っていたら僕の好きなイギリスの19世紀初頭の随筆家チャールズ・ラムのことを天心が、茶道の真髄を伝えている、と書いている箇所に出くわした。僕がこの本を読んだのは三十年以上前、その頃はチャールズ・ラムをまだ知らなかったので屹度軽く読み飛ばしたのだろう。この本が出たのは今から百年以上前、その時既にチャールズ・ラムのことを語っているとは流石と言う他はない。この本を再読しようと思っている。屹度前に読んだときは多くのものを見逃していただろうから。

若いときの読書はまぁそんなものかと思う。読んでるようで読んでいない、音楽もそう、絵もそうかもしれない。今の僕はピカソの絵を熱心に観たりはしないだろう、バルテュスですらもうそれほど関心はない、昔はあれほど好きな画家だったのに。速水御舟なんかは昔よりも興味がありもっと観たいと思う。誰かが言っていたが人生で芸術が分かるようになる頃には人間とうに五十は過ぎている、そうだ。今この言葉の意味が僕には分かる、やっとだが。色々と分かってくるようになる頃には人は死に近づいているというのが現実だろう。