ファイヤリング・グラス

ファイヤリング・グラス(firing glass、高さ 9,4 cm、下の直径 7,2 cm)、イギリス製、1800年頃。「ファイヤー」とは鉄砲などでバーンと打つ、という意味で、フリーメーソンなどの結社やクラブで男達が何かを話し合い、同意や議決の印に皆でバーンとこのグラスをテーブルに叩き付けたらしい、そこからファイヤリング・グラスという名前が来ています。ジンとかウイスキーを飲んだのでしょう。結構珍しいグラスです。グラスの底部は叩き付けても割れないようにぶ厚いです。持った感じもがっしりしていて、この時代特有の堅牢な雰囲気のグラスです。ヴィクトリア時代の物にはない雰囲気です。

イギリス18世紀後半から19世紀初頭のグラスがどんどん増え続けている、仕入れるほどは売れないので当然増えていく。見たことのない形のグラスがあれば仕入れる。特に18世紀末のジングラスには僕は愛着があるので買うのを止めない、日本でこんなにイギリスのジングラスがあるのはここだけかも知れない。ジンは17世紀後半にオランダからイギリスに伝わり異常なほどにイギリスでジンを飲むのが流行る、特にロンドンで流行ったらしい。18世紀後半はその流行も下火だったらしいがそれでも沢山のジングラスが今に伝わっている。僕の店にあるような綺麗なグラスでジンを飲めたのは恐らく中、上流の人だろう。ヴィクトリア時代になるとジングラスは姿を消して、ポートグラスやリキュールグラスになってくる。ロンドンには無数のコーヒーハウスやクラブが存在していたのでそんな場所でもジングラスは使われただろう、ブルジョアの家にも必ず上質のジングラスがあった筈だ。18世紀は産業革命が起こりロンドンの人口が急速に増え、田舎から出て来て劣悪な環境で生活していた人が沢山いた訳で、そういった人々が空腹や疲労の憂さを晴らすのにもジンを飲んだらしい。

混迷の時代ですね、ナワリヌイ氏が亡くなりました。遂に亡くなりました、一部のロシア人には希望だったはずです、彼が何処にいようと生きていることが。今の日本の政治家の裏金問題、酷いこと極まりないですね、国民を愚弄している。もう完全に「終わってる」人たちですね、早く退場して欲しいです。今、犬養毅の伝記を読んでいます。もっといい政治家がこの国から出ないのでしょうか、犬養毅、いい顔です。