嗅ぎ煙草入れとヴィネグレット?

水牛の角で作った嗅ぎ煙草入れ(直径 6,8 cm、高さ 3,1 cm)、時代は19世紀後半。オレンジ色のアゲートを両面に使ったケース、金属部分は真鍮(縦 2,5 cm、横 6,5 cm、 高さ 1,8 cm)、用途は恐らくヴィネグレット、ご婦人が気付け薬を綿に染み込ませて携帯したケース。時代は19世紀前半。内側に綿を押さえる蓋があったようです、そこからヴィネグレットだったと推測出来ます。二つ共にとても魅力的なケースです、渋い物と鮮やかに綺麗な物。男物と女性物で、女性物のほうが上等、詰まり持っていた人の階級が上です、水牛のケースは庶民の持ち物。

一月後半はヒマです、雪と地震の影響で人が来ません。まあアンティーク屋の良いところは物が腐ったりしないこと、五年十年置いていても、特に僕のところの商品は流行とは無縁だし、良い物は別にその価値は変わらない。日本のアンティークの世界で言えば流行はあるようですが、僕は関係無く仕入れてるので別にどうでもよい。大分前から、デルフトみたいな皿を金継ぎしたような物とか民芸調のボロいけど雰囲気のあるのが人気だったりで、まあこれは皆さんもご存知のある方が最初にやり、若い子らが真似っこして日本中に広まり、何と無く雰囲気重視の骨董でついでに店内と店主も雰囲気重視の装い。

本当に物をしっかりと見るのではなく何と無く雰囲気で買う、後は「名前」、何処で買ったかという、ネームヴァリューだけ。店に対する信用というものともちょっと違う、もっと浮薄なもの、雑誌などのメディアもそれに迎合すれば自然と流れ(流行)は作られる。それとSNSの影響力。

アンティーク・フェアーに出なくなったのもそういう浮薄な流れには興味がないから、自分が極めたいアンティークの世界はちょっと違う、もっと濃くてどろっとした地味で分かり難い世界。ここ五年くらいかな、自分のしたいことがやっと見えてきた気がする。