花柄のお皿、Spode?

イギリスの花柄のお皿(直径 22 cm)、19世紀半ば頃でメーカーはスポード(Spode)かも知れませんが裏には工房のマークは入っていません。高級品という感じではなくお皿も厚手、同時期のフランス物と比べても洗練度は落ちますが「頑張ってるな」という印象で微笑ましい感じ。でも何処となく素敵な物ですね。使っても良いかも知れませんがこうやって飾るのも良いです。一応磁器ですが半磁器ですね。中央は手書き周辺部のグリーンはプリントです。全部で六枚あり全て絵柄が違います。

先日「日本の古本屋」のサイトで「完訳 エリア随筆」(国書刊行会、全四巻、南條竹則 訳)を買いました。岩波文庫から出てる随筆抄は持っていたのですが矢張り完訳の物が欲しくなり買った次第。作家は18世紀後半生まれのイギリス人チャールズ・ラム。東インド会社に勤めていた人で彼がエッセーを書いていたのが今から二百年前。当時の文章スタイルのせいか、ちょっと読み難い。引用も多いので後ろの注釈と睨めっこしながら読み進めるのです、今読んでるのが『食前の祈禱』というエッセーですが中々面白い、食前の祈禱を捧げた後に食べるのは質素な食事こそ相応しく、明日の食事にありつけるかどうか分からない貧乏人は天の恵みの有り難さをしみじみと感じていてそういう人が羊肉と蕪の載った皿を前に食前に捧げる祈禱こそ意味があるが、日々の正餐を取れないという考えが及びもしないお金持ちが海亀や鹿肉を前にして食前に捧げる祈禱は偽善的(彼はこの言葉は使っていない)で不釣り合いなものであるとラムは述べる、「大勢の者が飢えているのに、自分には多すぎるほどの食べ物がある。それを感謝すると言ってもーー何に対する感謝なのか?ーー貴方はその非道さに愕然とする。それは心得違いをして”神々“を讃えることだ」(「完訳エリア随筆 II 正編[下] 」より。初出、「ロンドン雑誌」1821年11月)。僕はこれを読みながらゴッホの絵「馬鈴薯を食べる人々」を思い出しましたが、中々に真を突いたエッセーだと思います。こういう鋭いエッセーが読みたくて僕はラムの全集を買ったのです。素晴らしいです。読書の醍醐味はこういう本にこそあると思います。