ラリックのワイングラス

ラリックのワイングラス(10,8 x 6,4 cm)、20世紀前半頃。裏面にルーターで ‘Lalique France’ と書かれています。サイズが本当に丁度良い、日本人好みのサイズです。ガラスの生地質も良く高級品の雰囲気漂います。

昨日ある小説を読み終えた、ペルー出身の作家、バルガス==リョサの「密林の語り部」(西村英一郎 訳、岩波文庫)。イギリス仕入れに行く前に読み始めていたのだが忙しく中断していたのもありやっと読了した。新年早々地震があり最後のほうは余震を感じながら読んでいたが、この本を今このタイミングで読んだことに驚いている。この小説はアマゾンの先住民族の語り部を中心に語られていく物語なのだが、訳者によるあとがきにこんな文章がある。

「自分たちが平穏な生活を得た反面で、自分たちを支えてきた自然を忘れていたことに、人間の存在の根底にあるものに気づく。こうして、彼は、義務(人間と自然の均衡を保つ)を果たし・・・」

これだけ書いても分かりにくいだろうが、小説の文中にこんな短いが印象的な文もある。

「大地が嘆いているのなら何かしなければならない」

この本が出版されたのが2011年の秋、東日本大地震のあった年で、訳者は後書きの中でそのことにも触れている。

決して読み易い小説ではないが自然を省みず経済の発展だけに偏る現代を生きる私たちの心に何か重たいものを突きつけてくる「大きな物語」だと思う。