1800年のゼリーグラス

1800年イギリスのゼリーグラス(高さ11 cm)、シルバースプーンでゼリーなどのお菓子を食べたグラスです。底面の裏は型押し模様が施されています。美しいグラスです、この時代独特の品の良さが凝縮されています。こういう個性的なゼリーグラスは個々にカットデザインが違うのでこれと同じ物はもう見ないと思います。1800年前後は本当に18世紀の雰囲気を保ちながら次の世紀に移行し、それが消える前の徒花のような何処か儚げな魅力があります。僕がイギリスのこの時代の物に拘るのはひとえにこの時代に対する憧憬です。イタリアやフランスに比べるとイギリスは「後からやって来た」国なのですがそれでもこの時代のイギリスには独特の魅力があります。イギリスは日本と同じ島国です、これはイギリスの工芸文化を考えるうえで見逃せない要素かなと。国土が小さい国のほうが大きい国よりもディテールにより拘る傾向があるように思います。

今日近くの古本屋に行き店員の女の子と雑談していたら、最近は欧米の若い人がよく来るらしく、少し前に欧米人(白人)の若い男性が流暢な日本語で「もっとこれ以外にありませんか」と訊きながら東洋文庫の本を買って行ったそうです。時代は変わりましたね、東洋文庫なんて日本人でも中々読みませんよ、研究者でしょうかね。僕の行きつけのバーでも欧米人の若い人がジャパニーズ・ウィスキーを飲みに(恐らくネットで検索して)やって来るそうです。金沢は外国の観光客で溢れていますが、こういう新しい動きはコロナ後に加速してるような気がします。いいことですね、金沢ももっとコスモポリタンな街になっていったら良いなと思います。金沢に21世紀美術館が出来て、そして新幹線が来て、とこの二つが金沢の街の雰囲気、人の流れを変えていく契機でしたね。今の金沢は日本の地方都市の中では他にはない独特な街になりつつあると感じています。未だ時代錯誤の化石みたいな人もいますが、こういう新しい流れのほうが今は増えて来ていて嬉しいことです。高等遊民が金沢に増えていくといいですね、楽しみです。