仕入れは体力

仕入れの旅も三週目、流石に疲れは溜まっている。毎日朝早く遠くに出掛け夕方、まあ昼過ぎの場合もあるが、荷物を背負って帰って来る。昔の行商のお婆ちゃんみたいだ。それと、毎日アンティークを見てると、それにもちょっと疲れてくる、幾ら好きでもたまにはアンティーク無しの日も欲しい。今日仕入れたのは安めのグラスを二十個近く知り合いのディーラーから仕入れ、高級なシルバーのタバコ入れを一つ仕入れた。それだけ。昔は良い物あればガンガン買っていたが最近はある程度仕入れたら「打ち止め」にしている。理由は二つ。一、お金が続かない。二、運を使い果たす気がするから。だから、ある程度満足したら、もう見ないようにしている、見れば屹度欲しくなるから。まだ余力を残して次の日に備える。これが出来るようになったのは本当最近。それと僕は一回の仕入れ期間が長いので焦らなくても良い。日本から来る普通のアンティークディーラーは一週間位の人が多い、長くても二週間で帰国する。長く居れば経費も掛かる、店を閉めたり留守にしたりで大変だ。

僕は大体一ヶ月居る、無駄の多い仕入れの仕方だ。Caffe Neroでコーヒーばかり飲んでる、人間観察しながら。友人にアンティークの市で会うと、またNero?、とからかわれる。今日も一時間半程働いた後はNeroに籠もった。写真にあるように、パニーニとアーモンドクロワッサン、コーヒーを食べていた。隣りのソファーに狂った老人がいてずっと独り言を大声で喋っていた。その老人は前のほうのテーブルにいた家族に近づき話し掛けた、若いお父さんが立ち上がり老人に近寄ってから、僕に出来ることが何かありますか、と優しく言った、老人は何か呟いた、お父さんは、それは僕は医者ではないから無理ですね、と残念そうに言ってまた席に着いた。老人もソファーに戻ったが家族のほうを見ながら、俺は医者なんか要らないんだよ、と毒突くように言った。家族はこれ以上関わらないようにと静かにしていた。老人はオレンジジュースとコーヒーを飲んでいた。ちょっと変な組み合わせだな、と思った。

僕は無駄が楽しい、最近特にそう思う。