イギリスは高い

ベルリンではアンティークショップが沢山ある通りにも行きました。アンティークの店が通りの両側に数十軒くらいあり、そこで割と大きい店に入りました。五十くらいの痩せて小柄の(ドイツは皆んな身体がでかいので170cm後半位はあったが「小柄」に見えてしまう。僕なんかは小人という感じ)薄髭生やした気さくな男性が出迎えてくれました。三人で共同経営してるらしく偶々その日は彼が店番していたらしく、話しだすと、彼はブエノスアイレスの出身で、ロンドンの有名なアンティークセンターで二十年その一角を借りアンティークショップをやってたらしいがイギリスのEU離脱を機にベルリンに来た、とのこと、彼は頻りにドイツ人はマナーが悪いから嫌いだ礼儀正しいイギリスが懐かしい、ドイツ人はケチでお金を使わない、など愚痴りながらも、ベルリンを選んだ理由は家賃が安いから、と言っていた。今の家賃が二十万いかないくらい(僕から訊いたのではない)だが、そのお金では本当に狭いスペースしか借りられず、流石に嫌になった、とのこと。彼は中々面白い人で、僕が奥の部屋で見ていると、彼が手前と奥の部屋の間にある赤いビロードカーテンをさっと閉め、間から顔を出し、ゴメン、嫌いな客が来たからここ閉めるよ、と一言。どうやら要注意な客で目の届かない奥には入れたくないらしい。

僕は彼とそんな話しをしながら、彼のようにEU離脱を切っ掛けにロンドンを離れEUの他の国に移ってしまった面白い人が沢山いるのだろうな、と思った。こういう人が万単位で抜ければ、そりゃ街の雰囲気は変わります。ロンドンの家賃の高さは異常なレベルです、僕の友人の友人はロンドン西部の街中でギャラリーをやっていて月の家賃が二百万円。金沢だったら精々十万くらいで借りられそうなスペースに月二百万。一年で二千四百万。凄いです、異常な高さですね。

家賃が高ければ、それが飲食店ならば飲食代に家賃の高さが転化されます。兎に角街にお金の臭いがプンプンしてくる訳ですよ。今回ベルリンに行って僕がのんびり落ち着けた理由の大半はここにあるのかもしれません。実際僕自身、今のロンドンに可成り辟易していますし、一昔前の雰囲気はこの街から消えました。東京も同じかもしれませんね。

お金のある一部の人はいいですよ、でもそうではない大半の人にとってロンドンみたいな街は暮らし難い街、ということになります。これからこの街とどう付き合っていくか僕は考えています。少し気持ちが離れているのも事実ですね。それでもロンドン好きですけどね、、。

(写真はベルリンの中央駅)