久し振りのFoyles

先日久し振りにFoylesに行った、ロンドンの有名な老舗書店だ。僕は今まではピカデリーにあるWaterstones派だったのだが、少し前にイギリスの古典作家の本を探しに行ったとき、全く置いておらず、かなり幻滅したという訳だ。日本の作家、川上弘美は置いてあるのに、自国の19世紀初頭の作家、ド・クインシーを一冊も置いてないとはちょっと自分には信じられず、如何に売れる物中心にこの本屋のストックが傾いてるのかを象徴しているような気がしガッカリもしたのだ。その後直ぐに地下鉄で移動しFoylesに行き、ド・クインシーとチャールズ・ラムの本を探して貰う。こちらのほうが未だ古典作家を大事にしてたことが分かり僕の中で株が上がった訳だ。その後フロアを上がり三階に行くと、この階の両サイドにはジャズとクラシックのCDセクションがあり、更に評価が上がった、のだ。店員さんに訊くとジャズセクションはもう出来て十四年になるらしい、早速ノーマ・ウインストンのCDなどを買い求めた。

売れる物を優先して置く、というのが物販店の基本だろうが、売れる物だけに傾き過ぎると矢張り、それが本屋や趣味の店となると、詰まらない以上に店の品位を落とすことにもなる。売れる物だけを置いてある店、それはユニクロとどう違うのだろうか。コンビニでもいい。趣味の店のコンビニ化、ユニクロのような書店、アンティークショップ。

まあ、時代の流れといえばそれまでだが、その程度の店にこんな時代にわざわざ足を運ぶ価値があるのだろうか。矢張り、趣味の店にはさり気無い「自己主張」を期待するのは僕だけではないだろうし、一見こだわってるようで、実はお洒落感だけの薄っぺらい店に飽き飽きしてる人も案外多いのかもしれない。

趣味の店には「非俗」の匂いを僕はどうしても期待してしまうのだ。

(写真はド・クインシーの本とノーマ・ウインストンのCD)