今日電車で

こちらに来て早二週間、毎日忙しく動き回っていて、宿に帰ると倒れるようにそのまま寝てしまいます。意外と元気で疲れは溜まっていません、毎日何種類かのサプリメントを飲んでもいますし、青汁なんかも飲んでいます。青汁を炭酸水に溶かして飲むと意外と美味しい。

今日も朝から電車でロンドンの北へと出掛けました。友人と二人で向かい合いって座っていると、小柄で色の浅黒い二十代後半くらいの女性が近づいて来て、僕の横の空いてる席に小さなメモを置いて行きます。さっと読むと、私には三歳の子供がいてとても生活に困っている、というようなことが書いてあります、丁寧な字でした。それを先ず彼女はそっとみんなの席に置いてから、少しして静かに物乞いを始めました。恐らく東欧の出身でしょう、僕の友人も言ってましたが真面目そうな女性で、少しして僕のところにもやって来ました、僕はポケットから小銭を取り出し彼女に差し出すと、彼女は静かに受け取り、丁寧に両手を合わせ僕のほうを見つめ礼を述べていました。目が合いましたが、真面目な顔に見えました。

僕は、彼女がイギリス政府から十分な金銭的保護を得ながら更にそういう物乞いをしていたとしても、そんなのは構わないんです。電車の中で、丁寧な筆跡の紙を静かに置いて物乞いしながら歩いて回るだけでも立派な労働です、僕のあげた小銭がパンを買うのに足しになればそれでいいし、お金をあげる人がいれば元気も出るでしょう。彼女にはもう会うことはないでしょう、でも目が合ったときの表情は心に残るものでしたし、生き抜いて欲しいと思う。

こんな大変な人がいる、僕はアンティークを買っている。平行で交わることはないけれど、一瞬の接点が生じた訳です。子供がいるというのが嘘だったとしてもそれでもいい。とても困っているのは事実ですよ。組織的にやっているとしたら少し悲しいけど、でもあのときの彼女の顔には嘘はなかったと思いたい。

帰りの電車がロンドンに着くと、若い女性がごみ収集の為に大きなごみ袋両手に抱え空の電車に乗り込んでました。不況で仕事がないんでしょう、ひと昔前はこんな若い子がこんな仕事をするのは見なかったように思うのですが、、。

(写真はLewesの街です)