アンティーク・フェアーを廻り思うこと

イギリスに来て一週間弱、既に幾つかアンティーク・フェアーに行きました。フェアーに行くとコロナで廃業したアンティーク・ディーラーや、もう何年も会っていなかったディーラーに偶然出会い、互いの近況を確認しながら話しが弾みます。イギリスのアンティーク・ディーラーを見てて思うのは、本当に好きでやってる人はこのような逆風の中でも強いし、余り老け込みもせず変わらない、ということ。後、専門領域をしっかりと持ってるディーラーも強いように感じます。お金の為だけにやってた人は辞めて見なくなったり、更に悪いことをして汚れた金を稼いでいたり、ネットで売るのに移った人も多いでしょう。でも、矢張り本当にアンティークが好きな人は、生の人間に会うのが好きなんだな、と思います。この世界が醸す独特の空気から離れられないのでしょう、きっと。こちらでプロが集う大きなフェアーに行くと矢張り独特の雰囲気が漂っているもので、僕もそれに飢えている一人な訳で、その中毒性のある空気を吸いにこちらに来てるようなもの。唯皆んな確実に歳をとっていますし、若い人は参入して来ませんから、全体としてはゆっくりと沈みながら進む巨大な船のようで、ウェブ世界の逆風を受け、その荒波の中なんとか高齢の乗組員でガヤガヤ言いながら、やがて沈没するであろう船での残された時間を楽しんでるのです。

この世界もいずれは荒波に呑み込まれて消える運命かもしれませんが、僕たちは最後の世代として出来るだけ踏ん張りたいと思います。アンティーク世界の背後には幾多の人間模様が付随してる訳で、人間模様の部分を切り捨てていいとこ取りのネット販売には抗いたい。僕も今イギリスにいて、この目でしっかりと沈みゆく船の最後の航行を見届けたいと思っています。

(写真はロンドンの西、Kingston の街)