少しずつ調子を取り戻しつつ

ウイルス性の風邪からも何とか立ち直り、金曜の夜は買い付けからの帰路、重い荷物を両手に抱え、運悪く駅で道に迷い、最後はどうやって家に辿り着いたのか記憶も定かで無いほどに疲労困憊意識朦朧で、こんなに辛い経験は久し振りのことでした。家に着いてから友人に電話したらしいのですがその記憶も殆どない程。矢張り二年半のブランクは大きかったようです。体力は落ちてるし、ロンドンを彷徨いてるときでも、前はしなかったようなちょっとしたミスを犯してしまう。勘と記憶が鈍ってるので、移動してても前のように「流れ」がスムーズでない。それでもこの数日ボロボロ状態で動くうちに少しずつ勘が戻って来ている。地下鉄の駅や通路なんかでも五年くらい前は皆んなもっと、ぶつかりそうになったりぶつかったりすれば、sorry 、と言い合ったりしたが、もう今は、そんなこと構ってられない、という感じが広がっている。以前は地下鉄乗り換えの移動で地下道を歩いているときなど、ある種ワクワクするようなライブ感があったのだが、今はそれも無く味気ないものになって来ている。残念だがこのコロナで変化しなかった国など無いわけだから仕方あるまい。ロンドン中心部にいると古きイギリスの良さに触れることは少なくなって来ている。マナーの悪い若者、中国人とアラブ系の成金達がどうしても目立ってしまう、今はそんな街になっている。

今日ヴィクトリア駅の構内のベンチで休息していたらポケットから20ポンド札を床に落としたらしく、通路を挟んで向こう側のベンチで休息していた香港か台湾から来たような若いカップルの男性のほうがわざわざこちらまで寄って来てくれ、20ポンド札を指で示して僕に教えてくれた。有り難かったし、嬉しくもあった。ロンドンの魅力は街のど真ん中でこんなことが起きることでもある。まあ、もう少しポジティブな気持ちで眺めてみたいと思う。

(写真はパディントン駅とヴィクトリア駅周辺)