18世紀のジングラス

イギリス18世紀後半のジングラス(高さ 6.9 cm、9.1cm)。最近イギリスからグラス仕入れてますが、このような渋い小さなグラスは矢張り自分でイギリスに行かないと駄目ですね。イギリス人の友人で専門のディーラーから仕入れてますが、造形に対する感覚までは伝えようがないので、こういう日本人が好む形は中々電話でも伝わらない。電話でよくやり取りするんですが、感覚的なものを他人にしかも英語で伝えるのは無理でしょうね。でも確かにイギリス18世紀の物には日本人の侘び寂びに通じる感性が潜んでいることは事実です。その点ではフランスよりもイギリスだと思いますし、僕がイギリスのアンティーク、特に18世紀のグラスとシルバーに惚れ込んでいるのも、その時代の匂い所以です。19世紀に入っても1820年頃迄は未だ前世紀の匂いがしますが、それ以降はミドルクラスの勃興と共に、作る数も増え、何処と無く量産的な雰囲気を纏い出すのです。もう一つは、日本もイギリスも共に大陸の端に位置する島国である。この共通点は大きいと思います。この二つの国、似てるんです。これは僕のイギリスとの付き合いの中で得た実感です。勿論違うところも沢山ありますが。

本音を余りストレートに言わないとこも似てますね。だから真意を探らないといけない。面倒くさいと言えばそうですが、まあどの国の社会も入っていこうとなると面倒くさいものだと思いますが。

新しい店に移りもう直ぐ一年経ちます。扱う物のレベルを徐々に上げていくつもりです。矢張り進化しないと僕が楽しくないですから。趣味を売る店は矢張り店主が先ず楽しむこと。そして攻め続けること。これが重要。止まらない、過度な守りに入らない。自己満足的な店も見てて辛いですよね。今の若い子がやる店の大半が詰まらないのは安全圏の中でカッコだけつけようとするから、ですかね。狂ってないんです。本当に面白い個人経営の店のオーナーって何処かしら狂ってますよ。ちょっと常識から外れている。だから面白いし、そこに行くと刺激がある。ワクワクもする。ワクワクしない店はそんなもんもうネットショップでいいんじゃないですか、クリッククリックで十分。

ただ難しいのは、一言に「狂う」と言っても狂うには相応の知性が要りますから、知性なければ狂うことも出来ない。知性あれば狂える訳でもない。この辺が難しい。

若い方でお店をされる方、是非がんばって狂って下さい、少しだけ。余り狂うと店潰れますからその辺は適度に。