シルバーのデザートスプーン二本

ダブリン製のシルバー・デザートスプーン(長さ 17cm)、1809年製。取っ手に貴族の紋章が彫られています。この時代の紋章入りのダブリン製デザートスプーンは割と珍しいです。デザートスプーンはフルサイズのスプーンやティースプーンに比べると普及するのが遅かったので数が少ないのです。大切に使われていたのでしょう、小さい傷がありますが全体として状態の良いフォルムの綺麗なスプーンです。

先日知り合いの女性と話していました。友達だった人にお金絡みで嫌なことをされたらしくその彼女の話しを聞いていました。話しの終わりのほうで彼女がこう言ったのです、私人間不信になるわ、と。まだ若いこの女性にぼくはこう言いました、そんなたった一回くらい騙されただけで、人間不信なんて言葉を言うもんじゃない、そんな簡単に人間不信とか言ったら九割九分の人が人間不信になるし、シリアやアフガニスタンの人なんかはどうなるの、そんな人たちと比べたらぼくたちの経験なんか何でもないし、ただ貴方が人間を見る目が無かった、先ずそこを反省すべきだと思う、と。ぼくも今年嫌な経験がありました。二十年の付き合いのとても親しくしてたアンティークディーラーのイギリス人夫婦に、リモート仕入れをしようとメールでやり取りしていて、奥さんが値段を誤魔化してきました。長年の親しい付き合いで、何時もそこに泊めてもらい仕入れてました、それがリモートになった途端に値段を誤魔化してきたのです。上手に隠したつもりの添付写真に薄っすらと見える値札の数字と彼女が書いてきた数字が二倍とか一・五倍とかになっている。気付かない振りしてやんわりと断ると、彼女に何故か逆ギレされ、酷いメールを送り付けて来ました。

その後も色々あり一ヶ月くらいはショックでしたよ。親友だと思ってましたから。でもね、人間不信などと言うつもりはないです。ぼくが人間を見る目が無かったんです。それだけのこと。夫婦とはやんわりと縁を切りました。呆気ない終わりかたでとても残念でしたが、思い出も沢山ありましたし。まあお金に困っていたのでしょう。まさか、という人がナイフ突き付けてきた感じでしたがね、、。嫌なもんです、でも人間不信、じゃない。ぼくが人をよく見極めて無かった、そこです。

人間不信なんて言葉はもっと厳しい生き方を強いられた人達のものだと思います。