ミクシング・タンブラー

ミクシング・タンブラー(115 x 84 cm)、イギリス製、1860〜80年。日本風に言うと片口になりますね。イギリスではこのグラスでお酒にスパイスとかを入れて混ぜたのでしょうか、それで通称ミクシング・タンブラーと言われたりします。割と珍しいですね。1900年以降はこういう物は見かけなくなります。

セロニアス・モンクにハマっています。モンクのピアノばかり聴いてます。特に、コルトレーンやソニー・ロリンズ、ジョニー・グリフィン、ゲリー・マリガンなど強烈な個性のサクソフォン奏者とのカルテットは最高で、モンクの強烈な個性に引きずり込まれないようそこから逃げるように二人が拮抗していき、結果凄い緊張感ある演奏になるんです。モンクの引力に負けじと戦うんです。モンクのどこが良いのか自分でも分かりません、ただ麻薬のようにそれ無しじゃダメになるんです(麻薬やったことないので喩えとして)。50年代から60年代初頭のジャズ聴いてるとそれ以降のは聴けなくなります。泡盛に喩えると、43度の正統派の臭みある泡盛に慣れた後に30度位の観光客に合わせた飲みやすい泡盛を口にする感じですかね。それと50年代は未だ黒人が凄い差別を受けていた時代、ギャラなんかも白人に比べて酷い扱いを受けていたかもしれません。そんな状況と黒人の反骨精神、そんなものが彼らが出す音の質と恐らく無関係ではなかっただろうと僕は勝手に想像しています。

そう言えば先日のNew York Timesの記事に、今でもニューヨークなどの主に黒人や低所得者が住む地区では下水道の配管が古いため、度々便器の下水が逆流して溢れ大変で、このような人種差別とも取れる状況が未だ改善されていないと書いてありました。日本では考えられないことです。

今の時代は凡ゆる差別に厳しく対処するようになっていますが、僕はこの流れも結構疑っています。差別というものが無くなっているように見えて、別の形で一見分かりにくい差別が拡がっているのじゃないか、そう思ってます。今回のコロナワクチンの配分などを見ても富める国と貧しい国との格差は凄まじいじゃないですか。

最後に本を紹介します。十年以上前に出た本です。「冬の兵士   イラク・アフガン帰還米兵が語る戦場の真実」(岩波書店)。昔買った本ですが、時々開いて読んでいます。内容は読むに耐えないほどの悲惨な話しが多いですが、とても貴重な本だと思います。ご興味ある方は読まれてみて下さい。