1800年のゼリーグラス

イギリス、1800年頃のゼリーグラス(11.2 x 6.2 cm)、これでシルバー・スプーンを使ってゼリーを食べたらしいです。脚部分の裏側は Lemon Squeezer(レモン絞り器)と通称呼ばれる型押し模様が入っています。当時の上流階級によって使われたデザートグラスで、当然ガラスの生地質も良いです。形も質感も当時の雰囲気を十分に伝えるいいグラスです。1800年頃のイギリスは作られた物を見ていると過渡期のように思えます。人の生活の質が大きく変わり、人間にとってそれが何かは分からないけど何か大切なものを手放してしまった時代。そのように見えます。恐らくもっと時間が経てばもっと明確になるでしょうが、2000年辺りもそのような時代だったと思います。この辺りで僕たちは何か大切なものを手放し、人としてまた一つ劣化したように思えます。1990年から2000年にかけての本を読んでいても、あぁこの頃は未だこうだったな、とノスタルジーを覚えます。この時期にデジタルディバイスが普及しますが、矢張り人としての精神すらもアウトソーシングしてしまった、デジタルディバイスに寄り掛かって生きることを無意識に選び、奴属化した。そんな感じに見えますね。

この時代の前と後では人間の質がかなり異なる、同じように一見見えて違うもの。僕はそう思っています。