開店前の18世紀のグラス

数日前、店を開けようと下に降りて未だ明かりのついていない店に入り、18世紀後半のイギリスのグラスが入ったショーケースの前を通り過ぎると、真冬の正午前の北からの光を受けて古いグラスの群れが鈍い光彩を放っていました。何時もハロゲンライトの明かりの下で見るのに慣れているのでこの鈍く冷たい感じの光彩が新鮮に美しく、思わずカメラに収めた次第です。僕はイギリスのアンティークの中で18世紀のシルバー・カトラリーとグラスが殊に好きで、店と一緒に心中してもいいと思えるくらいこの二つには惚れてるんです。この二つを除いてアンティーク屋をやるという選択肢は全くないですし、この時代のシルバーとグラスを手に取って見られる空間がここにあるのがとても重要なのです、誰にとって、、それはよく知りませんが、とにかく重要なのですよ。多分今はこの時代のイギリスのグラスやシルバーに力を入れているアンティーク屋は日本では僕以外殆どいないかもしれません。こんなの大変なわりに儲からないし、地味で一般のブルジョア受けもしないし、18世紀の物を愉しむには知性もいるし、仕入れも時間が掛かり、そんなこんなで常識的なアンティーク屋さんは手を出さないんですね。でもね、綺麗なんですよ。流行らなくていいからいつまでも地味に売れていって欲しいですね。コロナで当分仕入れに行けませんが幸いシルバーもグラスも18世紀の物はまだ充分にあります。

この辺りの物を入り口にしてイギリス18世紀の色気、香りみたいな物を感じて頂いたらいいな、と時々思ってます。