シルバーの爪楊枝

シルバーの携帯爪楊枝(5,4 cm、携帯時、7,9 cm、使用時)、先端部は9金で、1920年頃の物ですかね。イギリス製です。こんな変わった物は余り売れませんが、世の中には変わった人もいるので、売れるときは売れます。売れるのは何時でもいいんです、兎に角仕入れて持っておかないと始まりませんから。

二年程前に能登島の民宿に泊まったときに出されたお茶が美味しかったので、帰り際のお金を払うときに、何処のお茶ですか、と訊いたら、多少吃り気味に帰って来た答えが、スーパーのお茶です、でした。昨日も、用事があり滋賀県に行った帰り京都にちょっと寄って、四条を少し下ったとこに鳥料理専門の居酒屋があったので入り、鶏肉とチーズのリゾットを食べたら美味しかったので、カウンターの中にいた料理人の方に、とても美味しいですが何のチーズですか、と訊いたら、素っ気ない感じで、ナチュラルチーズです、とだけ返って来ました。

僕、こんな素っ気ない態度の人が結構好きなんです。何か誠実な気がして。笑顔で色々お世辞なんか言いながら仰々しく行ってくる人は面倒臭いですね。バーテンダーとかも、いつも笑顔の奴はご用心。昔、テレビの取材で僕の店に美川憲一さんが来たときに彼が店にある色んなグラスを触りながら、あの独特の話し方で、これはどうなの(いい物なの)、と訊いて来るので、あっ、美川さん、それはフツーです、フツーのグラスです、と答えると彼はそのグラスから手を放し、詰まり買わない訳です。誰が訊こうがフツーの物はフツーな訳です。僕と彼の掛け合いは結構面白くてテレビスタッフの方も笑いながら収録されていましたが、漫才みたいになったので半分くらいをカットして下さいとお願いしたら、誠実に対応してくれました。収録が終わったら店の外は近所のおばちゃんやお年寄りで一杯で、中には美川さんに抱いて貰おうと、子犬や猫を持って来ている人もいて、彼は嫌がりもせず最後の一人まで、握手したり犬猫を抱いてあげたりしていて、偉いな、と思いました。きっと苦労人なんでしょうね。あんなふうに振舞ってるけど根は真面目な人じゃないかと思います。