折りたたみ式のサンドイッチ・ボックス

イギリスの折りたたみ式サンドイッチ・ボックス(15,0 x 9,7 x 4,0 cm、組み立て時の大きさ)。時代は1880〜1900年。珍しい物ですね、狩りや釣りにでも行くときに持って行ったのでしょうか。イギリス人はヨーロッパの中でも折りたたみ式の物や入れ子になった物を作るのが上手です。日本と同じで島国であることと関係があるかもしれません。

大分前に仕入れた物です。昔はこのような変わった道具類を今よりも仕入れていました。最近余り仕入れませんね。面白い道具を持ったアンティーク・ディーラーがイギリスでも最近は減りましたし、私も初心を忘れてきたのか、最近こういう面白い道具を前より買わなくなりました。段々と詰まらない人間になっているのかもしれません。売れる物より好きな物を買う。アンティークのプロになっても矢張りこれが基本!でしょうね。そう思います。売れる物だけしか置いていないアンティークショップほど詰まらない物はないでしょう。どれだけ売れ難い面白い物を置いてあるかが、そのアンティークショップの面白さを計る物差しだと思います。この世界にも流行みたいなものは一応あるんですね。ある有名な人がやってる店が民芸調のシブイモノをやってブームになると皆んな真似したり、、まあこれも流行の一つ。そんなものは詰まんないです。人の真似してどうするんですか、売れたとしても真似は真似、雪山で先に歩く奴に雪を掻かせてその後を歩いて行くようなもの。せこいんですよ、ダメです。

七八年前かなロンドンのアンティーク・マーケットで知り合いのアンティーク・ディーラー、八十歳手前位の日本人女性が巨大な鉄の剃刀みたいな物を手に取ってジーっと熱心に見てるんです。それ何なんですか、と話しかけると、何かの鉄の物を研磨する道具らしく値段も万のつく物で、彼女は買おうか買うまいか迷っているらしく、でも本当に変わった道具が好きなんだという感じが伝わってきて。僕はその姿を見て偉いなぁ、と思いました。そんな物日本に持って帰ったって使える訳じゃないし、特段綺麗な物でもないし、唯、変で値段も高い物。自分の眼でしっかり見て買う、人がどう言おうが思おうが。これが出来るプロの人って意外と少ないんですよ。

これからぽつぽつと変わった物を紹介していきます。