マホガニーのティー・キャディ

マホガニーのティー・キャディ(紅茶入れ)、イギリス、19世紀後半の物(タテ x ヨコ x タカサ、11 x 20 x 13 cm)。中の内張りは綺麗ですが後からの直しですね。鍵も付いています。今使うならジュエリー・ボックスとして使えそうです。箱は今余り綺麗に並べられていませんが、店が移転したら新しく箱を展示するスペースを設けたいと思います。

「漂巽紀略(ひょうそんきりゃく)」(講談社学術文庫)を今朝読み終えた。1841年に土佐のジョン万次郎が遭難してアメリカに渡り帰国を遂げるまでの約十年の顛末の聞き書きの現代語訳である。本の最後のほうで、アメリカ本土から船で移動してハワイのオアフ島にいたジョンを始め三人の土佐人は中国方面に向かう船に乗せて貰い日本に帰ることを企てていたが、中々相手の船長と話しが纏まらず上手くいかなかったのだが、遂にあるアメリカ船の船長と、他の二人を先に琉球の近くで降ろし、船員として必要とされていたジョンは一旦中国まで行く、という条件で話しが纏まり、三人は船に乗る。やがて琉球が近づくと、最初はジョンだけは船員として有能なので中国まで連れて行くという話しだったけど、アメリカ人の船長の慈悲心で、三人揃って琉球で降りればいい、足りない労力は俺が我慢するから、ということになり目出度く三人とも用意してあったボートを降ろして乗り込む。その時、その優しい船長がボートで琉球の島に接岸するのに何処が良いかまで的確な助言を与え、更に、お前たちがちゃんと岸に辿り着けるかをここで待って見届けてから船を動かすので、もし駄目だったら戻って来ればいい、と優しい言葉を掛けてジョンを最後に送り出す。その後三人は船を漕いで何とか今の摩文仁間切(糸満市)当たりに着き、それを見て驚いた地元の住民が変わった格好をしたアメリカ帰りの三人とまさに、歴史的邂逅を果たす。その最初に近付いて来た者の中に日本の言葉を解す若者がいて、彼が三人に同情し、こうして出会ったのだから我々はあなた方の世話をしたいと思う、と言って色々と親切にしてくれる。この辺りは読んでいてとても感動的。

この本には、ジョンが自分を最初に救助してアメリカまで連れて行き育ててくれた船長に帰国に際し書いた御礼の手紙が原文で載っている。初めて目にしたが中々良い英文であった。

この本お勧めします。面白いです。