シルバー製のインク壺(タテ 7,5 x ヨコ 8,0 cm)、イギリス、バーミンガム、1915年製)。ちょっと変わった形のインク壺、フォルムがシンプルで綺麗です。蓋の部分も適度な厚みがあり品があります。中にガラス容器が入っていてそこにインクを入れます。勿論ガラスは取り出せますよ。殆ど装飾が無くフォルムの美しさで見せるのがイギリスらしい。いい品です。
先日取材を兼ねて日帰りで長野に行きました。取材を終えて夕方松本から長野に戻り、二時間ほど時間が空いたので街中のバーに行こうと改札を出て、上田の「みすず飴」(包装も渋いし美味しいですね)とジャムを買って、ちょっとお腹空いてるな、と思い、改札向かい側にある立ち食い蕎麦屋に入り、さっと蕎麦を食べ店を出ようとしていたら、ぼくのすぐ後ろを七十代くらいの地味で小柄な夫婦が矢張り店から出ようとしてました。小柄で丸顔の奥さんが店の奥のほうを向くともなく向き「贅沢させてもらいました、ご馳走さま。あぁ、美味しかったぁ」と笑顔で言われました。ぼくは彼女のそう言うときの顔を見てもいました。ぼくはこの光景にちょっと感動を覚えました。400円くらいのお蕎麦を立って食べ、幸せそうに、贅沢させて貰った、と言える生活を送ってる人。昔の日本人ってこんなつましい感覚を持っていたと思いますが、兎に角ぼくには美しい光景に感じられた。同時にハッともさせられた、ぼくは立ち食い蕎麦食べてもそれを贅沢とは言わないし、もっと堕落した生活の中にいる。堕落が言い過ぎなら俗な生活を送っている。恥ずかしながら。
「旅は言葉を拾うこと」、そのときにふと思い浮かんだ言葉。矢張り旅はするべきだと思う。
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